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尾道市庁舎は日本の伝統的な簡素で優美な美意識を生かした

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建築家たちのメッセージ/CityhallProblem08


建築家たちのメッセージ/CityhallProblem08

京都大学で増田友也先生から建築を学んだ有志より尾道市民のみなさんへのメッセージ


私たちは、尾道市公会堂と尾道市庁舎本館が取り壊されるということを知り、大変驚いています。ふたつの建物は、日本の優れた建築文化を語る、尾道市の誇るべき大切な建築物です。
尾道市公会堂と尾道市庁舎本館は、私たちの恩師である京都大学教授増田友也先生が設計された優れた作品で、その文化的な価値は、日本の市庁舎・公会堂建築のなかで戦後を代表するものの一つです。
建築家たちのメッセージ/CityhallProblem08
増田友也先生は、尾道市庁舎を設計された当時、東の丹下健三、西の増田友也と呼ばれるほどの評価を受けた気鋭の建築家で、昨年(2014年)は増田友也先生の生誕100年の年でした。
尾道市庁舎は、戦争で傷ついた日本が立ち直るための、民主主義のシンボルとして、コンクリートという材料で、モダン建築のなかに日本の伝統的な簡素で優美な美意識を生かしたデザインとなっています。その清新な建築造形は、尾道の海を前に、後には尾道三山を控えた風景のなかに調和した優れた建築です。また、市庁舎と公会堂が一対となり、行政施設と文化施設を調和させるという理想を歴史都市である尾道で実現しています。日本建築学会中国支部は、その文化的価値を評価し、尾道市庁舎本館と尾道市公会堂の保存活用の要望書を尾道市長宛に提出されました。
しかしながら、尾道市はその要望書を生かすことなく、二つの建物を解体し、市庁舎を新築すると聞き、大変驚いています。尾道は日本の歴史や文化を大切にする都市であると思っていただけに、私たちの驚きをご理解いただけると思います。
取り壊す理由として、防災拠点としての耐震性能が問題とされていますが、構造は日本建築学会大賞受賞者である京都大学教授横尾義貫先生の設計で、補強すれば十分な耐震性能も確保できます。コンクリートの劣化は西側の増築部分であり、尾道市庁舎本館はほとんど劣化していないので、耐久性能も補修により十分確保できます。
私たちは、京都も尾道も日本の文化を大切に守り、これからもそれを引き継いでいく都市であると考えています。文化庁長官表彰(文化芸術創造都市部門)受賞都市・尾道の市民の皆様が、その良識をもって二つの価値ある建築物をお守りいただきますよう心より願うものです。

前田忠直(京都大学名誉教授)
人長信昭(京都嵯峨芸術大学客員教授)
松本静夫(歴史家・福山大学元教授)
西垣安比古(京都大学名誉教授)
松隈 洋(京都工芸繊維大学教授)

下記の写真は、2015年4月19日付け山陽日日新聞に掲載された意見広告 第四弾 意見広告
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